『南方録』に挑戦!お茶人必読の一冊。なぜ偽書といわれるのか。

茶道
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『南方録』ナンボウロク、と読みます。

「利休が集大成したわび茶の根本的理論を説くとともに、利休の茶会の詳細な記録にもとづいて、その実技を体系づけた書。」岩波文庫/南方録 西山松之助 校注版 表紙より。

わたしお茶は好きだけど、茶道研究にはあまり興味がなく、茶道関係の本は読む気にならなかったのですよね。特に古典は文章が読みにくいし、どれを読んだらいいかもよくわからないし。この本も先生がお渡しくださるまで、手にとることもなかったのでした。

読むにあたり、パラパラ中を見たら、江戸時代中期に書かれた文章(笑)。気分はあがるけど読み続ける自信がさがる~。

なので読む前に、ネットでレビューを読んでみようと思ったのでした。解説ブログとかまとめ動画とか、簡単に理解できる何かをもし発見できたらラッキーだな、、、という下心も持ちつつ。くず茶人ですな(笑)。

そしたら早々に「南方録 偽書」のキーワードを見つけたのでした。こんなに有名な本なのにどうゆうこと?

南方録は南坊宗啓(ナンボウソウケイ)というお坊さんが利休居士に聞き書きをした茶の湯の書、と長く伝わっていました。ですが戦後にこの本の研究が始まると、研究すればするほど疑問が深くなる、そもそも著者南坊さんの存在自体があやしいとか、ウソかホントかわからない本として再出版もできない状態となっていたのでした。この部分がニセモノ、偽書と呼ばれる理由だったのです。

で、いまでは結局、偽書というより、この本が発見されたとされる元禄3年の時点での茶の湯・利休研究としての史料だったという結論。別の言い方をすると秘伝だった利休居士聞き書き本が出てきたという設定で編纂された茶の湯研究書、というのが今の認識のようです。

ちなみに南方録著者、、というか見出した人とされるのは福岡藩黒田家家臣、立花実山(タチバナリツザン)。茶道に熱心で、ほかにも和歌や書画、学問もよくした当代の文化人だったのだそうです。当時の福岡で文化の中心にいたような人ですが、政争に巻き込まれ幽閉のうえ亡くなった悲運の人なのだそう。。。

2007年に福岡市美術館で開催された展覧会のポスターです。利休居士の肖像ですが描いたのは立花実山。調べるほど魅力的な人で、いつか福岡に行くことがあったら功績を訪ねてみたい。

なぜ偽書といわれるのかはここまで。

結局、わたしが読みたかった、内容まとめ記事は見つからず、しかたない、最初から読もうと思います。流し読みしてみたところ、これがかなり面白い。

文章は江戸の文体だし、たいへん読みにくいのだけど、現代語訳されていないところがまた良いのでした。なかには利休居士の開催した茶席の道具組や懐石料理のメニューなど、会記と呼ばれるものが1年分の記載あり。まあよくわからないのですけど(笑)、雰囲気はばしばし伝わってくるので利休さんの気配を身近に感じるような気分になります。利休さんお茶会、めっちゃいっぱいやってるやん。。。(それが仕事だからね笑)

次の目次は「棚」「書院」「台子」。利休の茶の実技のくわしい記録。ここは難しそうなので、気が向いたときにコツコツ読み進めてゆこうと思ってます。

お茶の本っていまいろいろ出版されているけど、、ある程度お稽古が進んだ人ならこの一冊で不明点が解決するんじゃないかな??と初心者向けの本を何冊が読んでみた自分は密かに感じました。これだけでいいんじゃない???

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